あなたは「アリとキリギリス」の話はご存知でしょうか?勤勉なアリと怠け者のキリギリス。この話はアリの生き方が賞賛を受けていますが、実は私たちの人生に置き換えるとアリの人生は本当に幸せとは限らないのです。
なぜなら、勤勉に働きアリは、働くことに生涯を掲げ、大切な人と過ごす時間や、好きなことをする時間を犠牲にしているから。ですので、本当の意味で幸せな生き方とは「キリギリス的な生き方」かもしれません。
そんな仮説を一冊の著書にしたのがビル・パーキンス著の『DIE WITH ZERO~人生が豊かになる究極のルール〜』です。私はこれを読んで、身体中に稲妻が走ったかのような衝撃を受けました。本当に人生で大切にすべきことが書かれた一冊。本記事では、この衝撃的な本の内容を独自の解釈でお伝えします。
今しかできないことに投資する
お金は貯めこむのではなく、今しかできないことに投資して価値ある経験に変えましょう、というのが一貫した本書のメッセージです。私たちはお金を溜め込むことに美徳を感じてしまいがちですが、一生のうちに溜め込んだお金を使いきれずに、そのまま死んでしまっては元も子もありません。
たとえば、老後1,000万円問題とよく言われますが、実際は老後に必要なお金は現役時代と比べてもどんどん下がっていくことがわかっています。歳を重ねるごとに、肉体的にも精神的にも衰えていくことで、それほどものごとに好奇心を感じたり幸福度も下がってきたりすることが、科学的にも明らからになっています。
ですので、本書で伝えているのは、使いきれないお金を棺桶にもっていくのではなく、使い切った状態で死を迎えようということです。事実、墓跡に貯蓄額が刻まれた墓跡を見たことはありませんし、人生を終える瞬間は人はそれほどお金に執着はしません。
逆に人生を終える時に持っていけるのは、素晴らしい経験だけ。そのため、お金は生きているうちに価値ある経験を過ごすために使い切りましょう、というのが本書の主張になります。
一刻も早く経験にお金を使う
実はお金の価値は年齢を重ねるごとに落ちていきます。なぜなら、若いうちの方が経験に価値を感じやすいからです。また、「いまやりたいこと」には賞味期限があります。やりたいことを先延ばしにしてしまうと、あとあとできる時がきても、その時にはもう気持ちが冷めている可能性が高いです。
そのため、やりたいことはやれるうちに、お金を惜しまずにやりましょう、というのが本書のメッセージになります。たとえば、友人との時間や、家族との時間、恋人との時間は無限に続くように思えますが、そうではありません。
いつか終わりが必ずきます。だからこそ、今できることをいまやろう、今大切な人と、かけがえないの時間を過ごすためにお金を使いましょう、ということです。その経験が私たちの人生を豊かにしてくれ、お金を保有し続けるよりもずっと幸福感に満ちて、充実した人生を送ることができるのです。
ただし、お金を使え、といったも何も浪費家になれ、というわけではありません。人生を生き抜くための最低限のお金は確保したうえで、経験にお金を使うことが大切です。
ゼロで死ぬ
本書のタイトルにもなっているとおり、死ぬ間際にはゼロを目指しましょう、ということです。前述したとおり、棺桶にお金を持っていくことはできません。どれだけの大富豪でも、お金を使いきれずに死んでしまえば、それは稼がなかったと同じです。
そのため、生きているうちに子供にお金を融資したり、自分のやりたいことにお金を使うことが大事です。そしてお金を使いきった状態で、人生の幕を閉じましょう。正確には、医療費の問題もありますが、「ゼロで死ぬ」という目標があれば、それに近い結果は得られるはず。
好きな経験をやり切り、人生を最大限に楽しみ、価値のあるものにするためにも、やりたいことには惜しみなくお金を使うことをおすすめします。
人生最後の日から逆算する
人生は思っているよりも短いものです。仕事ばっかりやって、家族との時間を犠牲にして、それでもお金を稼ぐことが大事だと思った人の人生最後の人は「もっと人生やりたいことをやればよかった」でしょう。
仕事をがんばることはもちろん大切なことです。しかし、人生はそれだけが全てではありません。海外旅行にいってかえがえなのない経験をする時間もあるし、大切な家族とともに過ごす時間も素晴らしいし、趣味に没頭する時間もいいし、仲間達と過ごす時間も人生を豊かにしてくれます。
それぞれの優先度はその人の価値観によるでしょう。人生の時間は限られています。こうしている間にも私たちは、死に近づいています。誰もがいつかは必ず死の瞬間を迎えます。いつかは終わるこの人生を、最後の日から逆算したときに、あなたはいま後悔しない日々を送れているといえるでしょうか?
もし、そうでないなら今すぐに自分の「やりたいことリスト」を作成し、実行に移しましょう。ちなみに私の父は54歳でこの世を去りました。まだまだやりたいことがあったと思います。何が言いたいのかというと、私たちの人生はいつ終わりを迎えるかわからない、ということです。
ですので、人生最後の日から逆算して後悔のない人生を送るために、いまから計画を実行に移しましょう。
本書の中でもお勧めされているアプリに「寿命時計」というものがあります。今の年齢を入力することで、いつ寿命を迎えるのか逆算してタイマー式に教えてくれます。なかなかリアルに余生の時間がわかりますので、ぜひインストールしてみてください。
大胆なリスクをとる
人生を価値あるものにするには、時には大胆なリスクを取りましょう。本書では、若いうちには借金をしてでも大胆にリスクを取り、経験をしろと述べています。事実、若いうちはお金の価値よりも経験の価値の方が高く、この先にリカバリーも可能です。
単純に、若いうちならこの先に働いて稼ぐお金を予想したとしても、全然リカバリーできる状態なので、経験をとった方が、人生トータルで見るといい方向に向いていきます。
たとえば、
- チャンスがあればなりふり構わず乗ってみる
- 移住してみる
- 人と会う
- きっかけになる出来事に足を踏み入れてみる
などがあげられます。著者も若い頃、現状の仕事に満足いっていない頃に、株式トレーダーの話が舞い込み、即決で引っ越しを決めたそうです。後から考えても、それは最適な決断だったといいます。
人は、いろいろとリスクを考えて行動を躊躇いがちですが、時には大胆にリスクをとってみることも大事ということですね。
まとめ
本書を読んだとき、体に電流が流れたような衝撃がありました。一貫して、本書では『物事は永遠に続かず、いつかは色褪せて消え去っていく』『人生で1番大切なことは思い出を作ること』というメッセージが伝えられています。
また、最後には著者から『挑戦をしよう。人生を最大限に充実させ、たった一度の人生を価値あるものにしよう」という言葉が投げかけられていました。実際に読みながら、自分の人生をしっかりと見つめ直し、これからどう生きていけば悔いのない人生になるかを再確認しました。
また、今ある関係性を大事にしようと思ったり、その人たちとの思い出をこれから作ることにお金や時間を使おうと、自分の優先度も変わりました。人生に悩んでいたり、悔いのない人生をいきたかったり、死ぬ間際にやり切ったと思える人生をこれから駆け抜けたいと思っている人には本当におすすめの一冊です。