ロジカルシンキングを学ぶと、必ずMECEといった概念が登場します。
この記事は「MECEって何?」「どんな場面で使えるの?」といった疑問をお持ちの方向けに、MECEについて解説します。MECEはビジネスシーンにかかわらず、論理的に文章を書いたり、話をしたりする際に欠かせない思考術です。MECEの意味、事例を交えてビジネスシーンで使えるように解説していきます。
Contents
1.MECEとは
『MECE(ミーシー)』とはMutually Exclusive and Collectively Exhaustiveの略で、ある事柄や概念を説明する際に、漏れなく、重なりなく、しかも全体的に漏れのない部分の集まりのことをいいます。
よく現場でいわれるたとえとしては『モレなく、ダブりなく』ということです。
たとえばA、B、C、Dという各要素が集合体としてモレなく、ダブりのない状態がMECEです。
MECEの関係が分かりやすい例がトランプのカードです。
トランプのカードを漏れなくダブり無く分けると、色や記号、種類によってグループ化が可能になります。赤のカード、青のカード、ジョーカーといったイメージです。さらに赤のハートとダイア、青のクローバーとスペードといったように各要素をわけられます。これらを分解することで、カードの全体像がはっきりと見えてきます。
2.MECEは論理の横のつながり
MECEはビジネスシーンのあらゆる問題解決に使用できます。その中でもよく使われるのがロジカルライティングです。
文章で論理的に相手に伝えるためには、主張と理由、根拠が必要です。
文章で伝えるメッセージは基本的にひとつですが、その内容に説得力を持たせるためには根拠が必要になります。根拠はひとつだけよりも最低3つはあったほうが深い文章になります。
イメージとしては、「ダイエット目的の筋トレでは下半身の筋肉を主に鍛えましょう」という主メッセージがあったとすると、その理由と根拠として
- 身体の大きな筋肉は下半身に集中している
- 下半身の筋肉量が上がると代謝があがる
- 下半身を鍛えると身体全体が引き締まってみえる
があげられます。この1~3の理由と根拠が論理の横のつながりです。この関係性がMECEである必要があるのです。
たとえばメッセージのテーマが「テーマは10日のプレゼンに間に合うか?」だったとしましょう。その場合
■結論
→添付の資料は10日のプレゼンで使用できる
■理由
→本日(8日)の10時には資料は完成予定
→9日の午前中にはチェックも完了してメールで送付する
これが結論と理由の流れになります。その上でMECEは2つの理由の関係性です。
この場合、「本日完成予定」と「9日午前中にはチェックも完了」が結論の根拠となっており、ダブりも漏れもない状態です。
3.3タイプのMECE
MECEを使うときに要素を分けやすくするには、3つのタイプで要素分けするやり方があります。
それが、
- 要素分解
- ステップ
- 対象概念
です。
3−1.要素分解
要素分解とはグループ分けしたい対象を、全体を形づくっている部分集合にわける考え方です。たとえば
ex.
・職階=担当者、主任、課長、部長
・血液型=A型、B型、O型、AB型
・弦楽器=ギター、ベース、ヴァイオリン、チェロetx…
などがあげられます。
3-2.ステップ
ステップとは始点から終点までの流れです。
たとえば納品予定の記事があったとすると、「本日10時に完成予定」「7日17時に納品予定」といった使い方や、「過去はこういう仕様だった」「現在はこういう仕様に変更された」などがあげられます。
3-3.対象概念
対象概念とはものごとの裏と表という考え方です。これはよくWEB記事でも見られるメリットとデメリットや、ビジネスの現場で使われるAとA以外などがあげられます。金融業界の投資の世界ではリスクとリターンという例え方もあります。
4.MECEで自己紹介をグループ化
MECEの3タイプのパターンを使って、自己紹介をグループ化してみるといろんな角度から要素にわけられます。
「わたしとは」を要素わけしてみましょう。
要素分解では
- 職業人として
- 家庭人として
- 一個人として
というそれぞれの自分の要素に分解できます。
続いて自分自身のステップをグループ化すると
- かつての自分(過去)
- いまの自分(現在)
- 将来の自分(未来)
という切り口で分類できます。
対象概念としても切り口は
- 長所と短所
- 好きなモノ、嫌いなモノ
といったわけ方ができるでしょう。
5.MECEでメールをグループ化
MECEのグループ化を受信ボックスに入ってあるメールで行ってみます。
■要素分解
- 自分にTOで来たメール
- 自分にCCで来たメール
- 自分にBCCで来たメール
■ステップ
- 先週以前に受信したメール
- 今週中、昨日までに受信したメール
- 本日受信したメール
■対象概念
- 社内から来たメール
- 社外から来たメール
このようにそれぞれ分類できます。
6.MECEは論理パターンの横のつながりを強化できる
ロジカルに相手にメッセージを伝えるためには論理パターンに沿って伝えることが大切です。論理パターンとは
- 問い(テーマ)→結論→理由(根拠)
のこと。
根拠はできればひとつの主張に3つは欲しいところです。
そして根拠は漏れなくダブりなく、MECEで作成しましょう。
MECEの考え方を取り入れることで論理パターンの横のつながりが強化されます。
ビジネスシーンではロジカルシンキングは欠かせません。さらにそれを伝えるライティングの技術ではMECEを使うとより論理的に思考が整理されます。
MECEを理解して、より速くわかりやすいビジネス文章をつくりましょう。
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